H形鋼は、建築や土木分野で広く使用される鋼材で、その断面がアルファベットの「H」の形状をしています。
このH形鋼には、一般的な「表サイズ」とは別に「裏サイズ」と呼ばれる寸法が存在します。
今回は、この「裏サイズ」について詳しく解説します。
裏サイズとは
裏サイズとは、標準的な表サイズ(例えば、H-400×200×8×13)に対して、寸法や板厚がやや小さいH形鋼のことを指します。
例えば、H-396×199×7×11などが裏サイズに該当します。これらの裏サイズは、JIS規格に掲載されており、現在でも流通しています。
表サイズと裏サイズの比較
以下に、表サイズと裏サイズの主な違いをまとめた表を示します。
項目 | 表サイズ (例: H-400×200×8×13) | 裏サイズ (例: H-396×199×7×11) |
---|---|---|
高さ (mm) | 400 | 396 |
フランジ幅 (mm) | 200 | 199 |
ウェブ厚さ (mm) | 8 | 7 |
フランジ厚さ (mm) | 13 | 11 |
重量 (kg/m) | 約65.4 | 約56.1 |
このように、裏サイズは表サイズに比べて寸法がわずかに小さく、重量も軽くなっています。
裏サイズの利点
- コスト削減
裏サイズは板厚が薄いため、同じ長さでも重量が軽くなります。これにより、材料費や輸送費の削減が期待できます。特に、小梁などの部材では、裏サイズを使用することで経済的な設計が可能となります。 - 断面性能の効率化
裏サイズは、単位質量あたりの断面性能が高く、効率的な部材選定が可能です。ただし、幅厚比が大きくなるため、変形性能や座屈強度については注意が必要です。
裏サイズの注意点
- 変形性能の低下
裏サイズは板厚が薄いため、変形性能が標準サイズに比べて低下する可能性があります。特に、耐震設計などで塑性変形能力が求められる場合は、適切な検討が必要です。 - 在庫状況の確認
裏サイズは、すべてのサイズが常時在庫されているわけではありません。使用を検討する際は、事前に製造元や流通業者に在庫状況を確認することが重要です。
Q&A
Q1: 裏サイズのH形鋼はどのような用途に適していますか?
A1: 裏サイズのH形鋼は、小梁や二次部材など、主要構造部材以外の部分での使用が一般的です。これにより、材料コストの削減や軽量化が図れます。
Q2: 裏サイズと表サイズを混在させることは可能ですか?
A2: 可能ですが、施工管理が複雑になるため、同じ工区内での混在は避けることが推奨されます。計画段階で適切なサイズ選定を行い、施工の効率化を図ることが重要です。
Q3: 裏サイズのH形鋼は将来的になくなるのでしょうか?
A3: 現在、JIS規格に掲載されている限り、裏サイズの使用は継続されると考えられます。ただし、需要や市場動向によっては製造状況が変化する可能性もあるため、最新情報の確認が必要です。
まとめ
H形鋼の裏サイズは、経済的な設計や軽量化を図る上で有効な選択肢となります。
しかし、変形性能や在庫状況など、使用に際しての注意点も存在します。適切な部材選定と計画を行い、プロジェクトの効率化と安全性を確保しましょう。