単純支持梁(Simply Supported Beam)に中央集中荷重 Pが作用する場合の最大曲げモーメントを、簡易解法と弾性曲線方程式の2つのアプローチを用いて解説します。
この問題は構造設計の基本的な解析モデルであり、計算プロセスを通じて重要な力学特性を学ぶことができます。
1. 簡易解法
単純支持梁の最大曲げモーメントは標準的な公式を用いることで容易に計算できます。
公式
最大曲げモーメントは次の式で表されます:
\[ M_{\text{max}} = \frac{P L}{4} \]
計算プロセス
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反力の計算
梁が対称であるため、左右の支点反力は等しくなります:
\[ R_A = R_B = \frac{P}{2} \]
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中央での曲げモーメント
最大曲げモーメントは梁の中央(荷重点)で発生し、以下のように計算されます:
\[ M_{\text{max}} = R_A \cdot \frac{L}{2} = \frac{P}{2} \cdot \frac{L}{2} = \frac{P L}{4} \]
2. 弾性曲線方程式を用いた導出
次に、弾性曲線方程式を用いて最大曲げモーメントを求めるプロセスを解説します。
2.1 弾性曲線方程式の定義
梁のたわみを記述する基本式は以下の通りです:
\[ EI \frac{d^2 y}{dx^2} = M(x) \]
ここで、
- \(EI\):梁の曲げ剛性
- \(M(x)\):位置 \(x\) における曲げモーメント
- \(y(x)\):梁のたわみ
2.2 曲げモーメントの式
集中荷重 \(P\) を受ける梁の曲げモーメント \(M(x)\) は以下のように位置 \(x\) に応じて定義されます。
(1) 左側(\(0 \leq x \leq L/2\))
左支点の反力 \(R_A = \frac{P}{2}\) を用いると、曲げモーメントは次のようになります:
\[ M(x) = R_A x = \frac{P}{2} x \]
(2) 右側(\(L/2 \leq x \leq L\))
右支点の反力 \(R_B = \frac{P}{2}\) を用いると、曲げモーメントは次のようになります:
\[ M(x) = R_B (L – x) = \frac{P}{2} (L – x) \]
2.3 中央での最大曲げモーメント
中央(\(x = L/2\))での曲げモーメントを計算します。
左側の式を用いた場合:
\[ M\left(\frac{L}{2}\right) = \frac{P}{2} \cdot \frac{L}{2} = \frac{P L}{4} \]
右側の式を用いた場合:
\[ M\left(\frac{L}{2}\right) = \frac{P}{2} \cdot \left(L – \frac{L}{2}\right) = \frac{P}{2} \cdot \frac{L}{2} = \frac{P L}{4} \]
左右どちらから計算しても結果は一致します。したがって、最大曲げモーメントは次のようになります:
\[ M_{\text{max}} = \frac{P L}{4} \]
3. 比較:簡易解法と弾性曲線方程式
以下に2つの方法を比較した表を示します。
解法 | 特徴 | 結果 |
---|---|---|
簡易解法 | 公式を直接適用し、簡単に計算できる | \[ M_{\text{max}} = \frac{P L}{4} \] |
弾性曲線方程式 | 厳密な理論に基づき、曲げ剛性や分布を計算する方法 | \[ M_{\text{max}} = \frac{P L}{4} \] |
4. 結果まとめ
ピン-ピン支点梁における中央集中荷重 \(P\) による最大曲げモーメントは、どちらの解法を用いても次のように得られます:
\[ M_{\text{max}} = \frac{P L}{4} \]
この結果は構造設計の基礎として重要であり、建築物の安全性や剛性設計の評価に直接役立ちます。