鉄骨鉄筋コンクリート構造(SRC構造)とは?

鉄骨鉄筋コンクリート構造(てっこつてっきんコンクリートこうぞう)とは、鉄筋コンクリート(RC構造)の芯部に鉄骨を内蔵した建築構造または工法です。英語では”Steel Reinforced Concrete”と表記され、その頭文字をとってSRC構造、またはSRC造と略されます。

この工法は、鉄骨構造(S構造)と鉄筋コンクリート構造(RC構造)の長所を組み合わせたものであり、高い耐震性と省スペース性を兼ね備えています。特に日本国内では高層建築や大型の商業施設に多く採用されていますが、国際的には「Concrete Encased Steel Beam/Column」と呼ばれる場合もあります。


鉄骨鉄筋コンクリート構造の特徴

SRC構造は、以下のような特徴を持っています:

特徴詳細
柱や梁の断面が小さくできる鋼材を内部に配置することでRC構造よりも小さい断面で高強度を実現し、空間効率を向上させます。
座屈耐力・耐火性の向上鋼材がコンクリートに被覆されることで、鋼構造に比べて座屈耐力が高く、耐火性能も向上します。
高い耐震性能耐力および変形性能が大きいため、RC構造や鋼構造に比べて耐震性能が優れています。
施工の複雑さ鉄骨の組み立て、鉄筋の配筋、コンクリートの打設を行うため、RC構造や鋼構造に比べて施工が煩雑で工期が長くなります。
高コスト高強度を得られる反面、材料費および施工費が高く、コストが割高になります。

SRC構造の利点と課題

SRC構造はその特性から、特定の用途において非常に有利ですが、課題も存在します。

メリット

  1. 高層建築物に適した設計:柱や梁の断面を抑えることで、床面積を有効に活用できます。
  2. 高い耐震性:地震の多い地域で特に有効であり、設計の自由度が高いです。
  3. 耐火性の向上:コンクリートで鋼材が保護され、火災時の安全性が向上します。

デメリット

  1. 施工の難易度:高度な技術が必要なため、施工者の熟練度に依存します。
  2. 工期の延長:複雑な施工工程が工期に影響します。
  3. コストの高さ:RC構造や鋼構造に比べてコストが高い点は予算管理の課題となります。

SRC構造の適用例と用途

SRC構造は、以下のような建築物に採用されています:

  • 高層マンション:耐震性と省スペース性が求められるため、SRC構造が最適。
  • 商業施設・オフィスビル:柱や梁を小さくすることで広いフロア面積を確保可能。
  • 医療施設・学校:耐震性の確保と空間効率が求められる用途に最適。

RC構造、鋼構造、SRC構造の比較

構造タイプ特徴適用例
RC構造(鉄筋コンクリート構造)高い耐火性と耐久性を持つが、柱や梁が太くなる。中層マンション、学校、病院
鋼構造(鉄骨構造)軽量で施工が容易、広いスパンを確保できるが、座屈耐力や耐火性に課題がある。工場、倉庫、大型ショッピングモール
SRC構造RC構造と鋼構造の長所を組み合わせた高性能構造だが、施工が複雑でコストが高い。高層マンション、オフィスビル

まとめ

鉄骨鉄筋コンクリート構造(SRC構造)は、RC構造と鋼構造の長所を兼ね備えた高度な建築工法です。特に高層建築や大規模施設において、耐震性、耐火性、省スペース性を発揮します。

一方で、施工の複雑さやコストの高さが課題となりますが、安全性や機能性が最優先される場面では最適な選択肢となるでしょう。SRC構造を採用する際には、特徴と課題を十分に理解したうえで、適切な設計と施工計画を立てることが重要です。

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