ブリーディングとは?発生する原因、主な影響、施工上のポイントについて解説

ブリーディングとは、生コンクリートを打設した後、硬化が始まる前の段階でコンクリート内部から余分な水分が表面ににじみ出す現象を指します。

この水分が多いと、表面近くに水膜ができたり、コンクリートの仕上げや強度発現に影響を及ぼしたりすることがあります。

ブリーディングは、コンクリートを構成する水・セメント・骨材などの比率や施工条件によって発生度合いが異なり、放置すると品質の低下や仕上げ不良の原因にもなるため注意が必要です。

ブリーディングは、コンクリートの凝結や硬化が進む過程で、密度の高いセメントと骨材が沈降しやすく、一方で水が軽いために上部に移動することで起こります。

日本のように気温や湿度の変化が大きい環境では、打設現場の管理不足によりブリーディングが顕著に現れることもあります。施工や養生の段階で適切に対策を取ることで、コンクリートの品質を高め、ひび割れや強度不足などのリスクを抑えられます。

ブリーディングが発生する原因

  1. 水セメント比の高さ
    セメントに対して過剰に水を加えると、コンクリート内部に余剰な水分が増え、ブリーディングが起こりやすくなります。施工のしやすさを求めて水を多くするケースが典型例です。
  2. 粗骨材・細骨材の組成
    骨材の形状や粒度分布が適切でない場合、コンクリートの締固めが悪くなり、沈降とともに水が上昇しやすくなります。
  3. 混和剤の影響
    流動化剤などを使用するとワーカビリティは向上しますが、同時にブリーディング量が増加する場合があります。適切な配合設計と施工管理が重要です。
  4. 施工・振動締固めの不十分
    コンクリート打設時の振動締固めが不十分だと、骨材やモルタルが均一に行き渡らず、局所的な沈降や水膜が生じるきっかけを作ります。
  5. 気温・湿度などの外的条件
    高温下ではコンクリートの凝結が早まり、水分が表面ににじみ出るスピードと蒸発がアンバランスになることがあります。気候条件もブリーディングを左右する重要な要因です。

ブリーディングによる主な影響

  1. 表面仕上げの不良
    コンクリート表面に水膜がたまると、仕上げ時にトラブルを起こしやすくなります。特に金ゴテ仕上げで水分をこすり込みすぎると、表面が脆くなるなどの問題が生じます。
  2. 強度低下・空隙の発生
    水分が局所的に溜まることで、セメントペーストが希釈されてしまい、強度が低下する恐れがあります。また、水膜が気泡や空隙を作り、耐久性を損ねる要因ともなります。
  3. ひび割れの誘発
    打設後に表面近くの水分が蒸発して乾燥収縮を引き起こすと、微細なひび割れ(プラスティック収縮ひび割れ)が発生しやすくなります。外壁や床スラブでは特に注意が必要です。
  4. 付着力・耐摩耗性の低下
    鉄筋との付着力が下がるほか、表面の摩耗に対しても弱くなる場合があり、長期的な劣化の原因になります。

ブリーディングに対する対策の比較表

対策方法メリットデメリット
水セメント比の適正化コンクリートの強度向上、ブリーディング抑制ワーカビリティが低下しやすく、施工の難易度が上がる場合も
混和剤の選定作業性を保ちつつブリーディングを制御するコストが上昇しやすい、添加量の最適化に専門知識が必要
骨材の品質管理適切な粒度分布や水洗いで沈降を抑え、良質のコンクリートを実現骨材調達先や品質検査に時間と手間がかかる
振動締固めの徹底均質なコンクリートを得やすく、余分な水分の上昇を抑制振動機の扱いが不適切だと、逆に局部的な空隙を生む可能性
適切な養生水分蒸発や温度差を和らげ、プラスティック収縮やブリーディングを軽減する養生期間が延びると工期の調整が必要

ブリーディングを抑制する施工上のポイント

  1. コンクリート配合の見直し
    設計段階で水セメント比を低めに設定し、必要なワーカビリティを確保するために混和材を適切に使うなど、バランスの取れた配合設計を行います。
  2. 骨材の事前検査
    骨材に異物や過剰な微粒分が含まれていないか、粒度分布が適切かをチェックします。汚れた骨材を使うとブリーディングだけでなく強度面にも悪影響が出るので注意が必要です。
  3. 振動締固めの徹底
    コンクリートを打設する際、バイブレーターを正しく使用し、空隙や偏りが生じないように締固めを行います。過振動で材料分離が起こらないよう注意しながら、適度な時間と範囲で振動をかけます。
  4. 適切なタイミングでの仕上げ
    床面やスラブを仕上げる際は、表面に水分が浮き上がりすぎる前、しかしコテムラがつかない程度のタイミングを見計らって仕上げを行うことが大切です。
  5. 養生の重要性
    打設後のコンクリート表面をシートや散水などで保護し、急激な乾燥を避けます。養生期間中に適切な湿度と温度を保つことで、表面のひび割れリスクやブリーディングの影響を最小限に抑えられます。

Q&A

Q1: ブリーディングが少ないほど良いのでしょうか?
A1: 一般的には少ない方が望ましいですが、まったくない状態もまた、施工性に影響を及ぼすことがあります。適度な水分移動は材料の流動性を確保する面もあるため、現場の条件に合わせたバランスが重要です。

Q2: ブリーディングが発生したコンクリートは強度が下がるのでしょうか?
A2: 過度なブリーディングは、表面付近の強度低下や空隙形成につながる可能性があります。ただし、適正な範囲であれば大きな問題にはならない場合もあります。養生などの対応がしっかりしていればリスクを軽減可能です。

Q3: ブリーディングによるひび割れが確認された場合、どう対処すべきですか?
A3: ひび割れの幅や深さ、位置を確認し、必要に応じて表面補修や注入補修を行います。問題の根本が施工環境や配合にある場合は、次の工事から改善策を取り入れることが重要です。

Q4: 打設後に見られるコンクリート表面の水溜りはブリーディングのせいですか?
A4: ほとんどの場合、ブリーディングの一種と考えられます。施工条件によっては水溜りができやすい形状や勾配になっている可能性もあるので、排水計画の見直しを行う必要があるかもしれません。

Q5: ブリーディング対策には何が最も効果的でしょうか?
A5: 単独の対策ではなく、適正な水セメント比や混和剤選定、骨材品質、振動締固め、そして養生まで含めたトータルの施工管理が最も効果的といえます。

まとめ

ブリーディングはコンクリート打設後の初期段階で起きる水分のにじみ出し現象であり、表面仕上げの不良や強度低下、ひび割れなどの原因となり得る重要な課題です。

適切な配合設計や施工管理、さらに養生の徹底によってブリーディングの影響を最小限に抑えられます。

建物の美観と耐久性を両立するためには、施工時に水セメント比や骨材の品質、振動締固めの方法、仕上げのタイミングなどに注意を払いつつ、完了後も養生を丁寧に行うことが大切です。