頭付きスタッドとは?その基本的な役割と特徴
頭付きスタッドは、鉄筋コンクリート(RC)スラブと鉄骨梁を一体化するための重要な部材です。J
JRC床と鉄骨梁の剛性を向上させる役割を果たします。頭付きスタッドは「スタッド溶接」を用いて鉄骨梁に接合され、RCスラブとの連結を強固にします。
- 主な役割
- RCスラブと鉄骨梁を繋ぐ
- 鉄骨梁の剛性を向上させる
- 地震時のせん断力を伝達する
頭付きスタッドの材質と規格
頭付きスタッドは高い強度を持つ鋼材で製造されており、その機械的性質や化学成分は以下のように規定されています。
頭付きスタッドの機械的性質
項目 | 値 |
---|---|
降伏点または0.2%耐力 | 235 N/mm²以上 |
引張強さ | 400~550 N/mm² |
伸び | 20%以上 |
化学成分(例: シリコンキルド鋼、アルミキルド鋼)
成分 | C | Si | Mn | P | S | Al |
---|---|---|---|---|---|---|
含有量 | 0.20以下 | 0.15~0.35 | 0.30~0.90 | 0.040以下 | 0.040以下 | 0.02以下 |
規格例
呼び径 | 呼び長さ(mm) | 表示例 |
---|---|---|
10 | 50, 80, 100 | STUD 13φ×100 |
19 | 80, 100, 130, 150 | STUD 19φ×130 |
25 | 130, 150, 170 | STUD 25φ×170 |
頭付きスタッドの役割と合成梁の効果
1. RCスラブと鉄骨梁を繋ぐ
鉄骨梁とRCスラブは別々の材料であり、そのままではRC床が滑る可能性があります。頭付スタッドを打設することで、RCスラブと鉄骨梁が一体化され、剛性が向上します。
2. 合成梁としての機能
合成梁とは、RCスラブと鉄骨梁が一体化した構造体で、以下の効果があります:
- 剛性アップ: 鉄骨梁の断面性能が向上し、フラットデッキ使用時でも片側スラブで1.5倍、両側スラブで2倍の剛性増大が期待できます。
- 梁せい(断面高さ)の向上: RCスラブを含めた断面として計算可能になり、強度設計が効率的に行えます。
完全合成梁と不完全合成梁の違い
項目 | 完全合成梁 | 不完全合成梁 |
---|---|---|
定義 | 全塑性モーメントに必要なスタッド本数以上を有する | 必要本数の半分以上だが、全数には満たない |
用途 | 地震時の大梁や高応力を受ける構造 | 応力の小さい小梁、補強構造 |
設計時の注意点 | 必須の本数を確保し、耐震設計に対応する | 地震時の応力には非対応であり、使用箇所を限定する必要 |
完全合成梁は、地震時の応力を安全に伝達するために不可欠で、不完全合成梁は小梁などの限定された用途でのみ使用されます。
まとめ
頭付きスタッドは、RCスラブと鉄骨梁を繋ぐだけでなく、合成梁として構造性能を向上させる重要な部材です。
また、完全合成梁と不完全合成梁の違いを理解し、適切に使用することで安全性を高めることが可能です。