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鉄骨の基本とその重要性
鉄骨(てっこつ)は、建築構造物で柱や梁といった主要部材に使用される材料で、人間の骨に例えられる役割を果たします。名称としては「鉄骨」と言われますが、実際には「鉄」ではなく「鋼(はがね)」が使われています。鋼は鉄に炭素やその他の成分を加えた高強度な合金です。
この記事では、鉄骨の性質、種類、耐火被覆との関係について詳しく解説します。
鉄骨の性質と特徴
鉄骨には以下のような特徴があります:
- 多様な断面形状が可能
- 細長い部材(線材)として使用
- 引張力に強く、圧縮力には注意が必要
- 軽量で地震力が比較的小さい
これらの特徴をさらに詳しく解説します。
1. 多様な断面形状が可能
鉄骨は加工性に優れており、角パイプ、丸パイプ、H形鋼、山形鋼、溝形鋼など、さまざまな断面形状を作ることができます。断面形状を工夫することで、経済性を高めながら必要な強度を確保できます。
断面形状 | 特徴 | 用途例 |
---|---|---|
角パイプ | 高剛性で美観も優れる | 柱や装飾部材 |
H形鋼 | 曲げや圧縮に強い | 梁や柱 |
溝形鋼 | 経済性が高い軽量構造に適す | 軽量トラスや小梁 |
2. 細長い部材として使用
鉄骨はRC(鉄筋コンクリート)造と異なり、面材ではなく線材として使用されます。これにより軽量化が可能となり、スラブや壁のような部材には適さないものの、主要構造材としての利点が大きいです。
3. 引張力に強く、圧縮力には注意が必要
鉄骨は引張力に強い一方、圧縮力による「座屈」に注意が必要です。座屈とは、圧縮荷重が加わった際に部材が変形して耐力を失う現象で、設計時には細長比(長さと断面寸法の比率)を適切に設定することが求められます。
4. 軽量で地震力が比較的小さい
鉄骨造はRC造よりも軽量で、地震力が小さくなるため耐震性に優れています。この特性により、高層建築物や地震の多い地域での採用が多いです。
鉄骨の種類
鉄骨には以下の種類があり、それぞれの用途に応じて選ばれます:
- 一般構造用圧延鋼材: SS400, SS490
- 建築構造用圧延鋼材: SN400A, SN490B
- 溶接構造用圧延鋼材: SM400, SM490
- 建築構造用耐火鋼材: NSFR400A, NSFR490A
耐火被覆との関係
鉄骨は高温になると強度が低下するため、耐火被覆が必要です。耐火被覆には以下のような種類があります:
耐火被覆材 | 特徴 |
---|---|
吹付けロックウール | 経済性が高く、形状に柔軟に対応可能 |
ケイ酸カルシウム板 | 高耐久性でメンテナンスが容易 |
耐火性能が求められる場合は、設計段階で適切な被覆方法を選択することが重要です。
まとめ
鉄骨は建築における主要な材料で、多様な断面形状、高い引張強度、軽量性など、優れた特性を持ちます。一方で、座屈や耐火性能の確保といった課題にも注意が必要です。