耐火被覆とは?目的・材料・工法を解説!

建築業界で働く方なら一度は耳にしたことがある耐火被覆。しかし、その具体的な材料や工法については意外と忘れがちではないでしょうか?この記事では、耐火被覆の目的や使用される材料、工法について詳しく説明します。


耐火被覆の目的

耐火被覆の目的は、建物の倒壊防止です。
特に火災時、鉄骨構造(S造)は高温により強度が著しく低下します。耐火被覆を施すことで、火災時でも建物の構造を保ち、被害の拡大を防ぎます。

  • 鉄筋コンクリート造(RC造)やれんが造:構造体そのものが耐火性能を持つため、耐火被覆は不要。
  • 鉄骨造(S造):火熱による耐力低下を防ぐため、耐火被覆が必須。

また、所定の建物には防火被覆が要求されますが、耐火構造であれば防火被覆の免除が認められる場合があります。


耐火被覆の材料

耐火被覆の材料は、「不燃性」が求められます。代表的な材料は以下の通りです:

  1. 吹付ロックウール
    • 主成分:セメント + ロックウール
    • 特徴:軽量で施工が簡単。立体駐車場などでよく見られる、ごわごわした白っぽい被覆。
  2. けい酸カルシウム板
    • 主成分:けい酸 + 石灰 + セメント + 繊維
    • 特徴:天井や壁面に使用される白っぽい板状の材料。加工しやすく、意匠性が求められる部分にも使用。
  3. 耐火塗料
    • 特徴:鋼材に直接塗布する塗料。火災時に膨張し、断熱層を形成する。

耐火被覆の工法

1. 吹付工法

  • 材料:吹付ロックウール
  • 特徴:安価で施工が早い。意匠的な仕上がりには向かないが、天井裏や見えない部分で多用される。

2. 成形板張り工法

  • 材料:けい酸カルシウム板など板状の材料
  • 特徴:柱や梁に合わせてカットし、金具や接着剤で固定。意匠性が必要な場所に適している。

3. 耐火塗料工法

  • 材料:耐火塗料
  • 特徴:鋼材の表面に直接塗布。塗料が膨張し断熱層を形成するため、意匠性が高く仕上がりが美しい。

耐火被覆の選択ポイント

  • コストを重視:吹付工法(吹付ロックウール)
  • 意匠性を重視:成形板張り工法や耐火塗料工法
  • 施工の速さ:吹付工法

まとめ

耐火被覆の目的は建物の倒壊防止。
特に鉄骨造において、火災時の耐力低下を防ぐために不可欠な技術です。材料としては、吹付ロックウールけい酸カルシウム板が広く使用されており、それぞれに適した工法があります。

  • 安価で速い:吹付工法
  • 意匠性が必要:成形板張り工法、耐火塗料工法

建築に携わる方は、これらを押さえておきましょう!