ダブルナットとは?仕組み・役割・種類の比較を解説!

ダブルナットについて

ダブルナットとは、ひとつのボルトに対してナットを2個使用し、相互のナットを締め付け合うことでゆるみ止めの効果を得る手法を指します。

一般的に「ダブルナッティング」と呼ばれることもあります。構造物や機械設備などで、振動や衝撃によるゆるみを防ぐ目的で採用されることが多く、建設現場でもよく使われるゆるみ止め技術のひとつです。


他のゆるみ止め方法としては、スプリングワッシャーや二段ネジなどがありますが、ダブルナットは比較的シンプルかつ堅実な方法として定評があります。

ただし、正しい手順やトルク管理を守らないと十分な効果を得にくい点に注意が必要です。

ダブルナットが求められる背景

  1. 振動や衝撃への耐性
    ボルト・ナットは、振動や衝撃があると徐々に締め付けが緩むことがあります。特に橋梁や建築物の鉄骨接合部、機械設備などでは、定期的な増し締めを行わないと事故や故障の原因になります。ダブルナットを用いることで、緩み止めの効果を高め、点検負担を軽減できます。
  2. 大きな軸力がかかる場面
    重量物を支える構造や高負荷のかかる機械部品などでは、ボルトの軸力を保持するためのゆるみ止めが不可欠です。ダブルナット方式は、1つのナットだけでは不十分な場合に、追加の補強策として機能します。
  3. 施工性と信頼性
    接着剤系のゆるみ止めや特殊形状のナットと比べると、ダブルナットは汎用部材で実施しやすいのが魅力です。現場で入手しやすい部材だけで組み立てが完了し、万が一の補修も楽に行えます。

ダブルナットのメリットとデメリットの比較表

項目メリットデメリット
ゆるみ止め効果2つのナットがお互いを締め付け合うため、緩みにくい施工が不十分だと効果半減
コスト・入手性汎用のボルト・ナットを使用でき、特別な部品を必要としないナットを2個使用するため部材費は若干増
施工難易度・手順どの現場でも比較的簡単に実施可能正しい手順やトルク管理を怠ると、ゆるみ止め効果が低下
メンテナンス性トルクレンチで増し締めしやすく、パーツ交換も容易2個のナットがあり締め付け部の点検に手間がかかる場合あり
耐振動性・耐衝撃性長期にわたり振動や衝撃によるゆるみを軽減できる極端な振動環境では他のゆるみ止めと組み合わせが必要な場合もある

ダブルナットの施工手順とポイント

  1. ナットの締付順序
    一般的な方法としては、最初に1個目のナット(ロックナット)を所定のトルクでしっかりと締め、その後2個目のナットを1個目に密着させるように締め付けます。最後に2個目のナットを逆方向にもう一度締め付けることで、ナット同士が互いにロックし合う構造になります。
  2. トルク管理
    適切な締付トルクを守らないと、ナット同士が噛み合わずに緩みやすくなったり、ボルトが過大な負荷を受けて損傷するリスクがあります。トルクレンチなどで管理し、製品や設計者が指定するトルク値を遵守してください。
  3. ワッシャーの選択
    1個目のナットと接合面の間に平ワッシャーやスプリングワッシャーを挟むことで、締め付け力を均一に分散させると同時に、表面へのダメージを防げます。特に振動が大きい場所では、ワッシャー選定が重要です。
  4. 防錆処理と保守
    ダブルナット部は雨や湿気にさらされやすい場合も多く、錆びなどの腐食が進行すると取り外しや再締めが困難になることがあります。防錆塗装やグリス塗布、定期的な点検を行うことで長寿命化が期待できます。
  5. 施工環境の把握
    ダブルナットが設置される場所が高所や狭所の場合、安全対策や工具の選定を十分に行います。ボルトの向きや長さが適切か、取り付けスペースが十分にあるかなど、事前の確認が欠かせません。

Q&A

Q1: ダブルナットとスプリングワッシャーのどちらがより効果的ですか?
A1: 条件によります。ダブルナットはナット同士の締め付けによる強いゆるみ止め効果が期待できますが、施工が手間になる場合があります。スプリングワッシャーはワッシャー1枚で簡単に導入できますが、極端な振動には限界があります。場合によっては併用することもあります。

Q2: ダブルナットに向くボルトの種類はありますか?
A2: 一般的な六角ボルトであればほとんど対応できます。重要なのはナット2個分のネジ山が確保される長さがあること、使用条件に適した強度区分を満たしていることなどです。

Q3: 一度装着したダブルナットを何度も再利用しても問題ないでしょうか?
A3: 状況によりますが、何度も取り外し・再締めを繰り返すとネジ山が摩耗し、ゆるみ止め効果が低下する可能性があります。大切な構造部分では新しいナットを使用するのが安心です。

Q4: 逆ネジを使えばダブルナットはいらないのでしょうか?
A4: 逆ネジのボルトナットはゆるみ止めに一定の効果がありますが、振動環境ではやはりダブルナットのようなしっかりしたロック機構がより確実です。併用するケースも存在します。

Q5: ステンレスのボルトでもダブルナットは可能ですか?
A5: 可能です。ステンレス製は錆びにくい利点がありますが、かじり(焼き付き)を起こしやすいので、潤滑剤の使用やトルク管理に注意が必要です。

まとめ

ダブルナットは、構造物や機械などで振動や衝撃によるゆるみを防ぐうえで非常に有効な方法です。

ボルトとナットというシンプルな部材のみで施工できるため、コストや入手性の面でメリットが大きい反面、適切な締付トルクや順序を守らないと十分な効果を発揮できないリスクもあります。


設計段階では、ナット2個分のネジ山が確保されるボルトの長さや、ワッシャーの有無、防錆処理の方法などを検討し、施工時にはトルクレンチを用いて正しい手順で増し締めを行ってください。

使用環境に応じて他のゆるみ止め手法と組み合わせることで、より高い安全性とメンテナンス性を実現できます。